
2015年にお亡くなりになった、船舶マニア(自称船キチガイ)である画家柳原良平氏の作品や遺品を展示する博物館がオープンしたので、早速行ってまいりました。

実は私は結構柳原氏の本を持っています。しかも、これらは小学生の頃からの愛読書でした。「船の本」は何度読み返したか判りません。私は船が好きですが、それは柳原氏の影響が大きいと思います。船の特徴を捉えつつ、デフォルメされたイラストも大好きでした。

ミュージアムはみなとみらいにあります。みなと博物館に併設されているのです。日本丸の周囲は桜が綺麗でした。なぜかZ旗も翻っています。

この鮮やかな色の桜は横浜緋桜(ヨコハマヒザクラ)という横浜で生まれた品種だそうです。

染井吉野(ソメイヨシノ)も満開でした。

旧横浜船渠の第一ドックに保存されている日本丸がお出迎え。みなと博物館と柳原良平アートミュージアムは同じ場所にあります。

みなと博物館と入口も共通でした。

キャプテン・アンクルもお出迎え。今日は横浜市民はみなと博物館も含めて無料だそうです。先着200名に記念品を渡すイベントもあったらしい。展示は多岐にわたるものでした。柳原氏の初期の作品も多く展示されていました。多くの人はデフォルメされたイラストのイメージが強いと思いますが、初期の作品はカッチリ描かれたリアルなものが多いです。非常に多才な方であり、職業画家、イラストレター、商業デザイナーだけでなく、アニメーターであり、漫画家でもあり、エッセイストでもありました。特撮映画まで自主制作されています。そして、何よりも「船キチガイ」でした。昔はキチガイという言葉はネガティブなイメージばかりではなかったのです。柳原氏は船の本で「船キチガイ」について書かれているので引用してみます。これは1968年に出た本である事を念頭において読んで下さいね。
今、子供に人気のあるのは怪獣である。ギララ、バルゴン、ウルトラマン……。さてこういう子供の中でサラリーマンになってもまだ怪獣が好きなのがいたらどうだろう。彼はきっと怪獣キチガイのレッテルをはられ、みんなから変わり者だと思われるに違いない。ボクの船キチガイはそれだ。子供ならばちっとも不思議じゃないが、大人になるまでしつっこく好きでいた事が変テコなのである。だいたい大学の受験勉強をする頃になってもまだ子供の遊びの消えないヤツはキチガイの域に入ってきたと見ていい、とボクは結論を出した。
まさに現在の「オタク」を予言したような文章ではありませんか。

柳原良平アートミュージアムオープン記念限定メニューのトリスハイボールだそうです。これは飲むしかないですね。トリスを飲んでハワイに行こう!!です。

実は私はもうかなり前になりますが、柳原良平氏に一度だけお会いした事があります。関内の本屋さんで買い物をした帰り、同じビル内の画廊で柳原氏の個展が開かれていたのです。入って絵を眺めていたら、受け付けの女性が「今日は初日なので奥で立食パーティーをやっています、よろしかったら参加されませんか」と言われて、恐る恐る会場に入ったら、柳原氏がいてニコニコと「よくいらっしゃいました」と挨拶されました。凄く緊張していたので「ありがとうございます」と言っただけでしたが、本当は、子供の頃からファンでした、あなたの著書を読んで船が好きになりましたと言いたかったのです。